キャスラである!
秘書のアシナです
ちょいと尋ねたいことがあるのだが、お主の先祖はトカゲだったりせんかの?
……へっ?
いや、普通にナーガ……っていうか、蛇だと思いますけど
ふむふむ。つまり、魔王の血を受け継いではおらんということだな?
まっ、魔王様の血!?
なななないないないないない! あるわけないじゃないですか! 恐れ多いッ!!
そんな仰々しく否定せんでも
……で、先祖がトカゲかもしれないことと、魔王様の血統に……なんの関係が?
フフン。とぼけおって。お主は妾のことを茶汲みと光魔法しか取り柄のない小娘だと思っとるようだが、それは違うぞ!
妾は……そう、お姫様だからな!
…………
知ってますけど……えっ、なに。実家が凄い自慢?
ちゃうわい! 王族に相応しい教養を身につけとる、ということだ
無論、魔王史についてもちゃ〜んと調べとる。独学ゆえに微々たる差異はあるだろうが、まず間違いなく——
魔王の正体は大トカゲであろ!?
はあ? いや、魔王様がトカゲなわけ……
……よく考えたら、私も真っ暗な映像でしか魔王様を見たことないんだった……
そして! 魔王のさらに上……大魔王の存在にお主は気づいておるか?
だ、大魔王様っ!?
ええ……ええぇ……知らなかった……就業研修じゃそんなこと一言も……
ならば良い機会だ。妾がお主らの真の支配者について教えてやろう。その名も……
その名も……!?
大魔王ゾー……
ゾー……!?
ゾ……なんだったかの
ゾーグ……じゃなし、ソーマ……でもなし
…………
ちょいと名前をド忘れしてしまったが、大陸を征服すべく魔界から大トカゲ——お主らの魔王だな——を派兵しおったのだ
魔王の名前は……たしかはらわたを喰らうのが大好きな……バ……バラ……
……キャスラちゃん。たぶんそれ、歴史書と間違えて有名な冒険記を読んじゃったんじゃ……
ああ、思い出した。大トカゲの魔獣バラモ——
ストップ! それ以上は口にしちゃ駄目です! 言い知れない圧を感じます!! ストォ————ップ!!