キャスラ

キャスラである!

アシナ

秘書のアシナです

キャスラ

ちょいと尋ねたいことがあるのだが、お主の先祖はトカゲだったりせんかの?

アシナ

……へっ?

アシナ

いや、普通にナーガ……っていうか、蛇だと思いますけど

キャスラ

ふむふむ。つまり、魔王の血を受け継いではおらんということだな?

アシナ

まっ、魔王様の血!?

アシナ

なななないないないないない! あるわけないじゃないですか! 恐れ多いッ!!

キャスラ

そんな仰々しく否定せんでも

アシナ

……で、先祖がトカゲかもしれないことと、魔王様の血統に……なんの関係が?

キャスラ

フフン。とぼけおって。お主は妾のことを茶汲みと光魔法しか取り柄のない小娘だと思っとるようだが、それは違うぞ!

キャスラ

妾は……そう、お姫様だからな!

アシナ

…………

アシナ

知ってますけど……えっ、なに。実家が凄い自慢?

キャスラ

ちゃうわい! 王族に相応しい教養を身につけとる、ということだ

キャスラ

無論、魔王史についてもちゃ〜んと調べとる。独学ゆえに微々たる差異はあるだろうが、まず間違いなく——

キャスラ

魔王の正体は大トカゲであろ!?

アシナ

はあ? いや、魔王様がトカゲなわけ……

アシナ

……よく考えたら、私も真っ暗な映像でしか魔王様を見たことないんだった……

キャスラ

そして! 魔王のさらに上……大魔王の存在にお主は気づいておるか?

アシナ

だ、大魔王様っ!?

アシナ

ええ……ええぇ……知らなかった……就業研修じゃそんなこと一言も……

キャスラ

ならば良い機会だ。妾がお主らの真の支配者について教えてやろう。その名も……

アシナ

その名も……!?

キャスラ

大魔王ゾー……

アシナ

ゾー……!?

キャスラ

ゾ……なんだったかの

キャスラ

ゾーグ……じゃなし、ソーマ……でもなし

アシナ

…………

キャスラ

ちょいと名前をド忘れしてしまったが、大陸を征服すべく魔界から大トカゲ——お主らの魔王だな——を派兵しおったのだ

キャスラ

魔王の名前は……たしかはらわたを喰らうのが大好きな……バ……バラ……

アシナ

……キャスラちゃん。たぶんそれ、歴史書と間違えて有名な冒険記を読んじゃったんじゃ……

キャスラ

ああ、思い出した。大トカゲの魔獣バラモ——

アシナ

ストップ! それ以上は口にしちゃ駄目です! 言い知れない圧を感じます!!  ストォ————ップ!!