破鎧(はがい)のガラム・ガランだ
秘書のアシナです
早速で悪いんだが氷が必要でな。頼めるか
氷結魔法ですか? 任せてください!
ヒャッコイ! ヒャッコイ! ヒャッコイ! ヒャッ、ヒャッ、ヒャッコイ!
ほう
過不足なく統一されたサイズの氷塊に、何度も氷結魔法を唱えられる魔力……
戦闘経験がないと聞いて、さぞ情けない技量なのだろうと思っていが……なかなかどうして、やるじゃないか
ふっふーん。戦うのは苦手ですけど、氷結魔法なら得意なんです!
その若さで大したもんだ。どこで学んだんだ?
学んだというか、鍛えられたのは実務のおかげで……
就業研修の一環として、長いこと地下で氷を造ってましたから
聞いたことがあるな。魔王城の地下には整氷作業に従事するフロストナーガの集団が、半ば軟禁状態で閉じ込められている、と
軟禁だなんてそんな! 魔王ジャルド様の導きに従う日々……不満なんてあると思います?
…お前が満足していたんなら別になにも言わんが
でも、そんな満ち足りた生活もある日突然終わりを迎えてしまって……あんなものが来たせいで……
あんなもの?
製氷機……
どうしようもないな
おかげでフロストナーガは散り散りになりましたけど……私たちは誓いました!
あんな得体の知れないものに仕事を取られないよう、氷結魔法の訓練だけは怠らずに続けようって!!
そしてついでに製氷機の悪口も広めていこうって!! 具体的には製氷機からは波動が放たれていて、それを浴びるとブスになる的なデマを——
悪いが……その話、長くなるか? 氷が溶けんうちに運びたいんだが
へっ……? ああっ! すみません!
どーぞどーぞ。ちなみに、氷はなにに使うつもりだったんですか?
地下の貯蔵庫用だ。喰おうと思って放置しておいた勇者たちの肉が臭いだしたんでな。そろそろ保存状況を整えねばならんらしい
ああ、なるほど。死体の保存用
…………
ガラムさん!? そーいう目的なら製氷機使ってもらえます!? ガラムさんっっ!?