――夜宵ちゃんのキャラコメンタリーをお願いします。
近藤 夜宵ちゃんは「絶対に関わりたくない子供」というイメージで作りました。考え方も頭のネジが飛んでいるというか、サイコな子というか。交通事故でIQで上がるとともに感情が死んでいるというのが、何となくある設定ですね。目は描いてみて「上手くいった、ああよかった」という感じです。
星野 夜宵ちゃんは最初に絵を見た時と、読んだ時の感想が違うんですよ。最初は「無」というか、喜怒哀楽が薄い子だと思ったのですが、螢ちゃんの言葉に頬を染めたり、お母さんを見つけたい一途さが、生きている感じがしました。むしろ死んだ感じがしたのは螢ちゃん。1話目の「あなたは恐怖を愛している」というコマで一気に落とされました。ここ、絵も台詞もすごくいい!あと螢ちゃんが電話ボックスで笑うコマとか、こっちの方が底が知れない。夜宵ちゃんの方が安心して見ていられます。
近藤 星野先生が指摘されているところは、夜宵ちゃんが人と関わることで変化してきた部分なんです。最初は無だったのが人と関わることで表情が出てきた…という印象で描いています。でも一貫して笑わないんですよ。
星野 いやぁ、頬を染めてくれるだけで十分です。それだけでめっちゃ可愛くて好きです(笑)。
――螢多朗は読者が共感できる主人公として作られたキャラですか?
近藤 …のつもりでしたが、描いてみると一番こいつがヤバいのでは?と。メインの3人が全員ヤバいのは読者に不親切という意見もあったのですが…この作品は敢えて尖った方が正解と思い、螢多朗も詠子も今の形になりました。つまり読者が共感しやすいキャラが1人もいない状態です(笑)。
――詠子も螢多朗と同様、謎が深い人物ですね。
近藤 皆さんが感じたように「何なの、この人?」と思って欲しい意図がありました。
星野 私は詠子がずーっと手を隠しているところが気になっていました。途中で手袋をしていない部屋着で騙されかけましたが、「いや、やっぱり手は見えていない!」と(笑)。
近藤 そこは片方だけ手袋にして、一旦フェイクを入れたんですよ。星野先生は引っ掛かりませんでしたが(笑)。